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【インタビュー】AI・IoT・ビッグデータで日本の農業を変える!ソフトウェア開発ベンチャー・オプティムの挑戦

※ この記事は 2018年03月16日に DX LEADERS に掲載されたものです。

株式会社オプティム 執行役員 休坂健志氏

テクノロジーをフル活用して「楽しく、かっこよく、稼げる農業」を目指す

同社が掲げているコンセプトは、“楽しく、かっこよく、稼げる農業”。これを実現するため、AI・IoT・ビッグデータを農業に活用する「OPTiM スマート農業ソリューション」を、2017年10月に発表した。

「これまの農業では、人手が必要だった業務や、農業従事者の経験則に基づいていた管理が求められる場面が多くありました。そこで、テクノロジーによる支援を導入することで、作業負担を軽減し、生産性の向上を作業負担の軽減を目指すべく、各種サービスを開発しました。」(休坂氏)

具体的なサービスは、大別すると以下の6つに分かれる。

【1】圃場情報管理サービス「Agri Field Manager」

圃場や農作物をドローンやスマートフォンで撮影し、映像や画像をAIで分析。病害虫の検知や発生予測などが行え、効率的に作物の生育管理を行うことができる。

圃場情報管理サービス「Agri Field Manager」

【2】ハウス情報管理サービス「Agri House Manager」

ハウスなどの建物内で栽培された作物を管理・分析を行うサービス。施設内に設置されたセンサーが集計したデータと、陸上走行型ロボット「OPTiM Crawler」の側面に装着したスマートフォンで連続撮影を行った画像データを、AIを用いて分析し、作物の収量予測(個数カウント、収穫適期判定)を行う。

ハウス情報管理サービス「Agri House Manager」

【3】ロボティクスサービス「OPTiM Hawk」・「OPTiM Agri Drone」・「OPTiM Crawler」

位置情報を含む分析用の画像データ収集を効率的に行うためにロボティクスを活用するサービスです。広域かつ長時間のデジタルスキャンが可能になる固定翼ドローン「OPTiM Hawk」、害虫検知などに使用する高画質カメラや生育分析に使用するマルチスペクトルカメラを使用したマルチコプタードローン「OPTiM Agri Drone」、自立運行で農地やハウス内の生育管理や生育観測を実現する陸上走行型ロボット「OPTiM Crawler」の3種類を提供する。

【4】農作業記録・GAP取得支援サービス「Agri Assistant」

作物の生育過程の記録を行う農作業記録・GAP取得支援サービス「Agri Assistant」はスマートデバイスやイヤラブル(耳装着型)端末などに対応。環境への配慮や農薬の適正利用、品質の向上など生産者が守るべき管理基準が定められている規範「GAP」の取得に必要な農作業情報を、スマートフォンやタブレット、パソコン、どこからでも共有・確認することができる。

農作業記録・GAP取得支援サービス「Agri Assistant」

【5】ブロックチェーンを活用したトレーサビリティプラットフォーム「アグリブロックチェーン」

オプティムが保有するブロックチェーン技術を活用したトレーサビリティプラットフォーム「アグリブロックチェーン」。生育作業履歴、流通履歴、資材調達履歴などの情報を、分散型データベースで共通管理することにより、「オープン」「高効率」「高信頼」なサプライチェーンを実現する。

ブロックチェーンを活用したトレーサビリティプラットフォーム「アグリブロックチェーン」

【6】AI・IoT・ロボットにより生育過程がトレースされた野菜「スマートやさい(R)」

「アグリブロックチェーン」に管理されている情報(生育作業履歴、流通履歴、資材調達履歴など)を利用。情報の改ざんが困難なブロックチェーン技術を利用したトレーサビリティ情報が確認できるため、安心・安全かつ高価値な野菜提供することができる。

AI・IoT・ロボットにより生育過程がトレースされた野菜「スマートやさい(R)」

2017年12月には、小麦栽培などを手掛ける帯広市の火ノ川農場からの場所の提供を得て、ソフトバンクと共同で「OPTiM スマート農業ソリューション」の圃場情報管理サービス「Agri Field Manager」とロボティクスサービス「OPTiM Hawk」を組み合わせて実証実験を行った。580ヘクタールの小麦の収穫予想や生育不良監視するというものだ。

「小麦の生育を監視するにあたり、今までは衛星データを使用していましたが、ドローンを活用することで、より鮮明な画像を入手することができるだけでなく、好きなタイミングで撮影することができます。衛星を使ったリモートセンシング自体の歴史は長いですが、我々が開発したドローンでは、さまざまな波長帯で画像を解析することによって、食物の育ち具合を見ることが可能になります。たとえば、小麦の収穫時期を見分けるにあたっては、緑色の濃さなどを判断するかたちになります。」

これまで、農業従事者の経験と勘で判断していた部分が機械的に識別できるようになることから、より正確な適期を見極めることができるというわけだ。

「また、病害虫に食害されている状況を素早く見つけて、早期に対応することによって被害を防ぐこともできます。これはAIを活用したアプリケーションで、検出したい画像を機械に教え込み、食害の状態をラベリングします。これと撮影してきた画像を照らし合わせることで、被害の特徴点を検出して被害予測をしていくかたちになります。」

通常、病害虫が発生しやすい時期になると全面農薬散布するが、画像解析によって病害虫が発生しているところだけに農薬をまくことができる。これにより、農薬のコストだけではなく、減農薬という付加価値にもつなげることができるのだ。

生産から販売まで、お金を生み出す仕組みも構築

「まずひとつは、減農薬野菜のプロジェクトに参加していただくことです。我々のサービスは生産者に販売するので、当然ながら農家さんの経費から引かれていきます。そのため、お金がないと購入していただけません。そこで、付加価値を上げて『レベニューシェア』のモデルを取り入れています。つまり、我々のソリューションを無償提供して、それにより生産された農作物を我々が買い取り、付加価値を付けて販売するというところまで含めた提案となります。簡単に言えば、販売のリスクは抑え、付加価値として売り上げたところからスマート農業のソリューションの経費分をいただく、ということです。」

これまで、レベニューシェアによって生産したスマート野菜は、黒大豆やトマトなど。福岡三越で販売され、割高にも関わらず好評で無事完売できたことから、ブランドとしての価値を確信できたという。

しかし、農業×ITを普及させていくうえでの課題は少なくない。

「生産者の方からは、『ITで全自動管理にしてもらいたい』と期待を寄せていただくことも。その辺りのご期待と、テクノロジーの現実はまだまだ乖離しています。ただ、我々はテクノロジーによって、解決できる範囲を積み重ねていくことが大切だと思っています。たとえば、病害虫の予測ができたからそれが解決されるわけではなくて、実際にはどうやって農薬を散布するか、人間がアクションしなくてはいけません。最終的には、決断のプロセスまでITで解決できるようにならなくては、農業の人手不足は解決していかないと思います。とはいえ、AIが病害虫を発見して知らせてくれる、まずはこの一手を導入するだけでも、業務負荷を減らせるはずです。」

そしてゆくゆくは、AIやIoTを活用した農業が当たり前になる世の中を目指していくという。

「我々の技術が普及することで、たとえ日本の農業人口が減少しても、力強く価値あるものとして存在し続けていけるものにしていきたいと考えています。また、日本は農業しかり、課題先進国でもありますので、将来的には培った技術を世界に輸出したいと考えています。」

2017年12月には、生産者をメインに企業や金融機関、自治体、大学など、スマート農業を目指す団体などに、ソリューションの一部を無償で提供する「スマート農業アライアンス」を開始。オプティムで無料講習も実施し、ドローンやウェアラブルデバイスなどの操縦をはじめ、残留農薬検査や土壌調査など各種実証実験への協力者を募っている。

オプティムが提供するソリューションが未来の農業のかたちをどう変えていくのか、注目していきたい。

取材・文:末吉 陽子

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