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現場で鍛えた ICT を活用する局面へ「先人の知恵」を生かして製造業 DX を加速

製造ラインをタブレット端末情報で設定する男性作業員 2 名

特集: 加速する製造業の変貌 ~ポスト・パンデミックのDX実践アプローチ ~ 第 6 回

「ポスト コロナ」を見据えて DX (デジタル トランスフォーメーション) 戦略を強化する動きが製造業で広がっています。迅速な変化を迫られている中、有利な形で DX を推進するうえで重要なポイントとして見逃せないのが「先人の知恵」です。先行する企業の経験やノウハウを生かすことで、効率よく進めることができるはずです。実は ICT ベンダーが提供する商品やサービスが、こうした利点を提供する可能性を秘めています。数年前の「第 4 次産業革命」の世界的ブームを契機に、いち早く現場を抱える企業と連携した ICT ベンダーが、現場から多くのことを学び、それを製品やサービスに反映しているからです。ここでは、製造業 DX を巡る最近の ICT ベンダーの動きとともに、現場で得た知見やノウハウを反映したソリューションの拡充を図っているマイクロソフトの取り組みを紹介します。

産業見本市「ハノーバーメッセ」2019 年、インダストリー4.0 ブース

新型コロナウイルス感染拡大によって深刻な事態に直面したことを契機に、製造業では DX を重視する機運が、いま改めて高まっています。もっとも、製造業 DX の流れが見えてきたのは、数年前の 2013 年ころのことです。ドイツ政府が、製造業強化の国家プロジェクト「インダストリー4.0」のコンセプトを明らかにしたのをキッカケに、「第 4 次産業革命」のブームが世界を席巻。このとき ICT を活用して製造業の仕組みを根本的に革新するという製造業 DX の概念が世界に広がりました。

製造業革新の機運が高まった背景には、高齢化による労働力の不足や市場の成熟化など、社会の変化を背景に、これまで続けてきた製造業の仕組みの中で様々な本質的な課題が浮上してきたことがあります。そうは言っても、製造業の仕組みを根本的に変えるには、それなりの時間がかかると見る雰囲気が日本の製造業は強かったように思います。ところが、ここにきて製造業 DX を加速する機運が急速に高まっているのは、新型コロナウイルス感染拡大によって、従来から挙がっていた製造業の課題のいくつかが現実の問題として多くの企業が直面することになったからです。

「第 4 次産業革命」のブームとともに DX の概念が製造業に広がる中で、新たな動きを見せたのが DX の基盤となる情報システムに関わる ICT 業界でした。もともと多くの ICT ベンダーが、ものづくりの現場から集めたデータを管理するシステムを展開していましたが、これに加えて、ものづくりの「現場」の領域にある課題におよぶ製品やサービスに力を入れる ICT ベンダーが続々と登場してきました。ただし、「情報システム」と、ものづくりの現場では、ICT に対するニーズが異なります。ユーザーの特性も違います。具体的には、情報システムは企業の IT 部門が担当していますが、ものづくりの現場に実装する IT システムには多くの場合 IT 部門の担当ではありません。したがって、これまでの製品やサービスの延長で、現場のニーズに応えることは、なかなかできません。そこで一部の ICT ベンダーは、現場を抱える企業と連携して、実際のニーズを意識した実践的な製品やサービスの開発に乗り出しました。

産業見本市「ハノーバーメッセ」2019 年、マイクロソフトは航空機エンジン メーカーと協業

マイクロソフトは航空機エンジン メーカーと協業

「現場」に積極的に踏み込む ICT ベンダー

こうした製造業を巡る ICT 業界の動きを目の当たりにすることができたのが、毎年春にドイツのハノーバーで開催される大規模な産業見本市「ハノーバーメッセ」です。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、残念ながら 2020 年は開催が中止されましたが、70 年以上の歴史を誇る大型イベントです。このハノーバーメッセは、「インダストリー4.0」のブームが始まってから、ICT による製造業革新を巡るトレンドの最新状況を探る場として世界の注目を集めてきました。そのハノーバーメッセでは数年前から、ものづくりの現場に積極的にアプローチしようという大手の ICT ベンダーの出展が急増しています。それまで、産業用機械/部品や FA 器機を手掛けるメーカーが出展企業のほとんどを占めていたので、異業種である ICT ベンダーの出展増加は、かなり目立ちました。

産業見本市「ハノーバーメッセ」2019 年、マイクロソフトのブース

2019 年のハノーバーメッセにおけるマイクロソフトのブース

ものづくり企業との実践でノウハウを蓄積

最近になってハノーバーメッセに参加した ICT ベンダーの中で、ひときわ大きな存在感を示していたのが、業界でもいち早く 2015 年からハノーバーメッセへの出展を始めたマイクロソフトです。2015 年~2019 年まで継続して、大規模なブースを構えて出展しています。マイクロソフトの展示の大きな特徴は、マイクロソフトが提供するサービスや製品を利用してユーザーが実現した DX の事例を前面に展示していることです。この展示方針は、2015 年から一貫しています。

産業見本市「ハノーバーメッセ」2019 年、トヨタマテリアルハンドリングヨーロッパが開発した AGV

トヨタマテリアルハンドリングヨーロッパが開発した AGV

例えば、2015 年は、産業用ロボット・メーカーの独 KUKA やエレベーター大手の  ThyssenKrupp ともに産業用ロボットの先進的な応用や遠隔監視の事例を紹介。2016 年は、英 Rolls-Royce 社の巨大な航空機用エンジンを展示してクラウドを使って大量のデータを収集する仕組みを披露しました。2017 年は、マイクロソフトが開発したヘッドマウントディスプレイ「Microsoft HoloLens」を使った MR (Mixed Realty) 技術を導入した ThyssenKrupp の製品開発システムなどを展示。2018 年~2019 年は、トヨタマテリアルハンドリングヨーロッパが開発した AGV (自動搬送車) や、スイスの食品加工機メーカー Bühler のトウモロコシ選別装置など AI (人工知能) を応用したシステムを中心にユーザー事例を展示しています。

産業見本市「ハノーバーメッセ」2019 年、スイス Bühler のトウモロコシ選別装置

スイス Bühler のトウモロコシ選別装置

製造業 DX に向けた環境作りを着々

ハノーバーメッセにおけるマイクロソフトの活動を見ると、製造業に向けた取り組みが年々進化していることが分かります。2015 年は、IoT (Internet of Things) の要素技術を中心に展示しました。2016 年は、IoT の仕組みを使って収集したデータを、クラウドを使って活用するシステムへと展示する技術領域が広がっています。2017 年は、さらに IoT の技術を利用して現実世界の事象を仮想空間に再現するデジタル ツインに関連する展示が加わりました。翌年の 2018 年には、物流関連の事例も含めて、ものづくりのバリュー チェーン全体にわたる、技術や製品を展示しています。2019 年は、展示の内容が、ものづくりの仕組みだけでなくビジネスの領域まで踏み込んだ展示が増えました。先に述べた「IT と OT の融合」を実践し、「現場」に密着したソリューションの拡充を図っていることが、ここ数年の取り組みから分かります。

産業見本市「ハノーバーメッセ」2019 年、ロボットアーム デモンストレーション

ここまで製造業DXの実現に向けて「現場」にアプローチするICT業界の動きと、その中でいち早く活動を始めたマイクロソフトの取り組みを紹介しました。実は、マイクロソフトの様々な活動の中で、製造用DXの実践に関わる注目すべき取り組みが、もう一つあります。企業の組織、さらに企業や業界の枠を超えて収集したデータを統合して活用し、さらにそこから新たな付加価値を引き出すための環境作りです(後編へ続く)。
(監修: 日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ)

現場に活用するICT (クラウド x AI) 利用例の資料ダウンロード

ICT (クラウド x AI) を現場で活用する具体的なユースケースをイラストでわかりやすく解説した資料をダウンロードいただけます。

AIで自動化する、製造業の新しい「ものづくり」

 

この投稿はシリーズです。
第 1 回「コロナ禍で加速する製造業 DX、的確かつ迅速な「現場」の変革が不可避に
第 2 回「現場が“腹落ち”する製造業 DX、手戻り最小限で速やかな変革
第 3 回「先行する製造現場の DX に素早く追随、最適な筋書きを浮き上がらせる 5 つのメニュー
第 4 回「「DX は成長戦略の大きなチカラ」、大胆な取り組みを着々と展開
第 5 回「製造業 DX は確実に加速、柔軟な姿勢で多様なエコシステムを構築
第 7 回「ビジネス変革を見据えた製造業 DX、データモデル「CDM」の強化で基礎を整備

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