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データ駆動社会に向けてデジタル庁が取り組む、「政府相互運用性フレームワーク“GIF”」の全貌。

日本マイクロソフトは、政府の各機関間で情報システムを相互に連携させるための共通の基盤となる枠組み「政府相互運用性フレームワーク(Government Interoperability Framework、以下 GIF/ジーアイエフ)」におけるデータモデルのひな形を、デジタル庁と協力して Microsoft Dataverse 上で開発し、GitHub(GIF-for-Dataverse)に公開しました。

参考:デジタル庁ホームページ「政府相互運用性フレームワーク(GIF)」
参考:GIF 説明資料(pptx)

我が国の政府は 2030 年を目処に「データ駆動社会」の実現を目指しており、その基盤となるデータの相互運用性向上への取り組みは喫緊の課題となっています。今回開発されたデータモデルのひな形は、2023 年 3 月にリリースされたGIFの活用推進に貢献することが期待されています。

本稿では、デジタル庁 データ戦略統括の平本健二氏に GIF の概要やユースケースをお聞きするとともに、日本マイクロソフトが提供するひな形の活用方法について解説します。

デジタル庁 データ戦略統括
平本 健二 氏

日本マイクロソフト ビジネスアプリケーション統括本部 テクノロジースペシャリスト
石丸 尚輝

日本マイクロソフト デジタルガバメント統括本部 インダストリーアドバイザー
藤中 伸紀

データのモデル化は相互運用性の向上に向けた第一歩

平本 我が国がデータ駆動社会を目指す過程においては、「誰でもいつでもストレスなくデータが入手できる」ことがひとつの目標となります。現状を鑑みると、行政・企業に関わらずさまざまなシステムやサービスが乱立するなかで、それぞれが連携していないために、データの取得に苦労する例は枚挙にいとまがありません。GIF には、こうしたシステムやサービス間の相互運用性の向上が期待されています。

例えば GIF によってデータモデルや利用ルールが共通化されることで、ある自治体で開発したサービスを別の自治体でも展開しやすくなります。また、申請や証明のデータ構造を GIF に合わせることで、申請の資格確認を自動照合できるようになります。その他さまざまな場面で住民の利便性向上や職員の業務効率化に大きく役立つと考えています。

我が国の壮大なデータ戦略のなかで、現状 GIF が担うのはデータモデルとガイドラインの提供です。ポイントは 3 つ あり、ルールのパーツとデータ連携のプラットフォーム、そしてデータ自体。なかでも最初に取り組むべきなのは「データのモデル化」であると私たちは考えています。

身近な事例に当てはめて説明すると、私たちがスーパーマーケットに行ったときに雑多に商品が積まれていたら困ってしまいますよね。種類や大きさごとに箱に入っていたり、値段や賞味期限などの説明文が規格化されていたりするからこそ、私たちはストレスなく買い物ができるのです。

GIF は、データの世界でスーパーマーケットと同じ仕組みを実現するために企画された技術体系であると言えると思います。

スライド画像「GIFの目指す姿:データドリブンな社会を作る」/相互運用性(インタオペラビリティ)の確保:1. 安心してデータやサービスを使用できるトラストの確保 2.みつけやすくつなげやすいデータ連携の仕組み  3. 多様で、品質が確保され、十分な量のデータの供給/必要なデータが簡単に手に入り、新サービスをスタートさせやすい/データが集中管理され、重複投資がなくなる/様々なサービスが選択でき、暮らしやすい/社会の維持管理コストが減少/データ再利用や自動審査が進み、現場が楽になる

GIF の活用によって社会全体の効率化を目指す

平本 GIF のメリットとしては、前述の相互運用性向上に加えてデータ設計の効率化・品質向上が挙げられます。システム開発やサービス開発において欠かせないデータ設計をそれぞれが行うことで、データ項目が使いにくかったりそもそも存在しなかったりといった問題が生じます。そこに GIF が提供するデータモデルを当てはめることで、スムーズかつ精度の高いデータ設計が可能になるのです。

またGIF のユースケースとしては、ワンスオンリーサービス(一貫してデジタルで完結できるサービス)の効率化が挙げられます。これまでは申請データや証明データを各々の機関が設計しており、共有するには PDF やコピーを送るといった運用が必要でしたが、これらのデータを GIF にしたがってつくれば、自動照合が可能になります。自動照合ができれば審査時間も圧倒的に短縮できますから、これまでのような、送られてきた PDF を開いて目視で確認するといったフローが必要なくなり、ほんの一瞬で作業が完結できるようになるのです。

これは行政に限った話ではなく、例えば携帯電話や保険の契約時にワンスオンリーサービスをスピーディに提供できれば、相当の業務効率化を実現できるのではないでしょうか。私たちは、GIF の活用は政府機関に限ったものではなく、社会全体の効率化まで見据えたプロジェクトとして考えています。

アジャイルな時代に対応しながら、ステップバイステップで浸透を目指す

平本 標準の統一化プロジェクトは、1994 年に行政情報化基本計画が策定された頃から始まっていました。さまざまな要因からその歩みは非常に遅かったのですが、いよいよ前に進めなければいけないという認識が広がったのが、2011 年の東日本大震災のときでした。被災地からの「水がほしい」というメッセージの「水」は、果たして生活水なのか飲み水なのか、それとも手術用の水なのか。そこで混乱が生じ、適切な対処が遅れてしまうこともありました。もしも共通の語彙が揃っていれば、もっと迅速にシステムが組めたはずです。

その教訓をもとにして共通語彙基盤 IMI(Infrastructure for Multilayer Interoperability)が構築されましたが、IMI は幅広いシーンで使えるようにする代わりに、運用が非常に煩雑なシステムになってしまいました。そこで IMI の活用を促しつつ相互運用性に配慮した枠組みとしてつくられたのが、GIF ということになります。ちなみにこれまで、我が国の相互運用性確保のプロジェクト名は「IMI」が使されてきましたが、GIF の開発・普及プロジェクトはそれを継承して、「IMI2」(アイ・エム・アイ・ツー)と呼称されています。

GIF は標準モデルではなく参照モデルとして構築されています。標準モデルにしてしまうと、往々にしてそこから外れたものは規格外とみなされてしまいますし、一旦標準を定めてしまうとフレキシブルな改訂がしにくくなってしまいます。

私たちは、現代のように社会がアジャイルに変化する時代においては、必要な一部分を使ったり、拡張して自由度高く使ったりできる参照モデルがふさわしいと考えています。参照モデルの採用には参入障壁を下げる効果も見込んでいますし、リリース後に要望を受け入れて改善しやすくする意図もあります。

一方で、もっと規格を厳密にしてほしいという声があることも事実です。「もともと使っていた規格と違うからすぐには導入できない」という省庁もあります。しかし、そうした声にすべて対応しようとすると柔軟な運用ができなくなってしまいます。

ですから一斉にすべての政府機関で導入してもらうことは考えておらず、2030年をターゲットにして、「見つけられること」「使えること」「自動処理できること」「AI 等で解析できること」の 4 つのステップを定めて、段階的に浸透させていこうとしています。

変化の激しい IT 業界においては亀の歩みのように思われるかもしれませんが、例えば自治体が共通のサービスを開発しようとする際に、隣接する 5 つの自治体のうち GIF を活用している自治体が 4 つしかなかったとしても、調整の手間は 1 自治体分で済みます。これまで 5 自治体との調整が必要だったことを考えれば、大きな変化と言えるのではないでしょうか。

データの流れを説明する図/コアデータパーツ→コアデータモデル→実装データモデル→データ

民間の力も借りながら GIF の活用推進に取り組む

平本 とはいえ、導入が迅速に進むに越したことはありません。今回、日本マイクロソフトから GIF のデータモデルのひな形を開発したいという申し出をいただけたことは非常にありがたく感じています。

今回のような、デジタル庁がつくったツールに日本マイクロソフトのような民間企業と協力してひな形を組み込むといったやり方は、おそらく日本内にこれまでに例がないと思います。私たちとしても、プロジェクトを進めながら日本マイクロソフトとすり合わせを行うことで、もともと GIF はエンジニアが使うことを想定していろいろなものを定義していたのですが、Microsoft のローコード・ノーコードツールを使うことを前提に、ひな形を使って非エンジニアでも GIF を活用できるよう定義を見直すなど、大いに気づきを得られた部分がありました。

リリース後は、皆さんに GIF をうまく使いこなしていただくとともに、たくさんの要望を寄せてほしいと思っています。画面設計や帳票設計を担当する人からデータの長さを決めてほしいという声が多く寄せられれば、推奨モデルを検討する必要があるでしょう。前述の通り、そうしたクイックな改善対応も GIF を参照モデルにした理由のひとつですので、幅広くユーザーの声を吸い上げて使い勝手のよいものにしていければと思います。

日本マイクロソフトをはじめとする全国の IT 事業者の皆さんにも、GIF の周知やフィードバックなどにご協力いただけると幸いです。

GIF の可能性を広げる日本マイクロソフトの標準テンプレート

石丸 Microsoft Dataverse は、データの保管と管理を行うための Microsoft Power Platform 向けデータプラットフォームです。Dataverse を用いれば、さまざまな Microsoft のサービスでデータを扱えるようになるため、データに関連する機能や設定をニーズに合わせて簡単に拡張することができます。

日本マイクロソフトでは、Dataverse 上に GIF の標準テンプレート、いわゆるデータモデルのひな形を開発し、ソフトウェアの開発プラットフォーム GitHub でソースコードを公開しています。

このひな形を使えばコードを加工する必要がありませんから、GIF の導入をスムーズに進めることができますし、Dynamics 365 CRM によるデータ管理や Power Platform に含まれる Power Apps や Power Automate といったツールによるアプリ化・自動化などにより、GIF の規格に沿ったデータモデルをチャットボットやポータルサイトといった業務用ツールの開発に生かせるようになります。公共施設の予約システムや災害時の避難所の管理システムなど、幅広い業務で使っていただけると考えています。

GIF のデータモデルの更新に合わせて Dateverse のソリューションを段階的にバージョンアップ予定/政府相互運用性フレームワーク (GIF) 、コアデータモデル→Dataverse:GIF のデータモデルをもとに Dataverse 用にカスタマイズしたテーブルを生成/Dataverse に登録されたレコードは Microsoft Power Platform 内の様々なサービスで活用可能/Microsoft Power Platform/Power Apps/ Pwer Automate/Power BI/ Power Virtual Agents/Power Pages/コネクタ/AI Builder/Dataverse/Power Fx/マネージド環境

藤中 このひな形はふた通りの使い方を想定しています。まずは組織内での内製化。ノーコード・ローコード開発が基本なので、データベースを設計する必要もなく、データモデルがパッケージ化されているので、データのテーブル構造を利用して多様な業務の中で使っていただけます。

ふたつ目が事業者によるシステム構築への活用です。これまでの行政システムはカスタム開発で作られていた分野も多く、開発した事業者ごとにテーブル構造がバラバラの状態で使われている場合がほとんどです。まず事業者がこのひな形のデータモデルを導入して、そのうえで UI や承認のフローをカスタムしていくという使い方を想定しています。

日本マイクロソフトだけでは全国 1700 を超える自治体全てをカバーするのは難しいので、パートナー企業にも協力いただき、これからも GIF の活用推進を支援していきたいと考えています。

参考:デジタル庁ホームページ「政府相互運用性フレームワーク(GIF)」
参考:GIF 説明資料(pptx)

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