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Microsoft AI Tour Osakaレポート 〜AI で実現するフロンティア組織への進化とビジネス変革〜

Microsoft AI Tour が 3 月の東京ビッグサイトに続いて、9 月 10 日に大阪でも初開催 (於 : コングレスクエア グラングリーン大阪)。1,300名ものお客様にご来場いただき、満員御礼の中、「AI で実現するフロンティア組織への進化とビジネス変革」というテーマに則したさまざまなセッションが行われました。

マイクロソフトでは、AI を戦略的に活用することで組織の在り方そのものを再構築する企業や団体を「フロンティア組織」と呼んでいます。

基調講演のメイントピックとなるプレゼンテーションでは、日本マイクロソフトの社員 7 名が、「フロンティア組織」を体現する架空企業のシナリオに沿ったデモンストレーションを展開。企業のあらゆる部門に対して AI が提供できる可能性の大きさを示しました。

本稿では、熱気に満ちた当日の模様を、オープニングの基調講演を中心にお伝えします。

大阪府と日本マイクロソフトの新たな取り組み


基調講演は、日本マイクロソフト株式会社 代表取締役 社長 津坂 美樹による、Microsoft 365 Copilot のインタープリター エージェントを活用したデモンストレーションでスタート。Microsoft Teams の Web 会議で、スペイン語と韓国語を話す社員の声がほぼリアルタイムに日本語へ翻訳され、何不自由なくコミュニケーションする様子に、満員のお客様は興味を示されていました。

津坂によるTeams上でインタープリター エージェントを活用したデモンストレーション
日経 225 の企業の 85% が Copilot を利用

さらに、Microsoft の生成 AI である Copilot が「日経 225 の企業の 85%」で活用されていることを発表した津坂は、「世界的に見ても、日本のお客様はトップクラスに AI の導入・活用に、熱心に取り組まれている」ことを強調します。

大阪府知事 吉村 洋文 氏

さらに、メイントピックとなる「AI で実現するフロンティア組織への進化とビジネス変革」のプレゼンテーションを挟んで、ステージ上には大阪府知事 吉村 洋文 氏が登壇。

大阪府と日本マイクロソフトによる、下記の 3 つの取り組みが発表されました (詳細記事 : 大阪府とマイクロソフト、AI エージェント活用で府民サービスの質向上へ  – News Center Japan)。

1. AI エージェントを活用した行政サービスの高度化支援

行政案内や相談対応、多言語対応等への AI エージェントの試験導入に加え、将来的にはリアルタイムで集めた住民の声をもとに施策を検討するといった、高度な AI 活用を検討

2. 女性向け AI スキル習得支援プログラムの提供

大阪府が展開する「にであうトレーニング」の枠組みのもと、日本マイクロソフトはAI スキルを学べる無償プログラム「Code; Without Barriers(コード ウィズアウト バリアーズ)」を提供

3. 大阪府庁での生成 AI 活用強化を「アドバイザー」として支援

大阪府が今月、新設した「庁内生成 AI アドバイザー制度」の枠組みのもと、マイクロソフトの社員がアドバイザーとして、庁内での安全かつ効果的な生成 AI の活用推進を支援

大阪府と日本マイクロソフトの新たな取り組みを紹介する大阪府知事 吉村 洋文 氏と日本マイクロソフト津坂

吉村知事は生成 AI の進化について「ものすごく速いことを実感しています。私たちの感覚でいうと、1 年で 10 年分ぐらい進化しているように感じます。だからこそ、(行政の現場でも) より活用の幅が広がるなという風に思っている」とコメント。

さらに、「住民の皆さんの行政サービスを高め、役所の生産性を向上するために、私たちは積極的に生成 AI にコミットしていきます。大阪府が事務局となり『行政AIエージェント実証コンソーシアム』を本年中に設立する予定です。AI や IT 企業、ロボット関連企業等、広く民間企業の皆さまにご参画いただきたいと考えています。民間企業の皆様と互いに協力し合いながら、この生成 AI の可能性をさらに大阪府として追求していきます」と締めくくりました。

フロンティア組織へ進化するための方程式
フロンティア組織への進化に向けた「成功の枠組み」と「アプローチ」を紹介する岡嵜

基調講演のメイントピックとなるプレゼンテーションは、日本マイクロソフト 執行役員 常務 クラウド & AI ソリューション事業本部長である岡嵜 禎をはじめとする、社員 8 名によって行われました。

■ フロンティア組織への進化

【4 つの成功の枠組み】

  1. 従業員エクスペリエンスの強化
  2. 顧客エンゲージメントの改革
  3. ビジネスプロセスの再構築
  4. イノベーションの加速

【3 つのアプローチ】

  1. AI ビジネスソリューション
  2. クラウド & AI プラットフォーム
  3. セキュリティ
プレゼンテーションに参加した 8 名の社員とプレゼンテーション内容の一部

プレゼンテーションのシナリオは、「フロンティア組織」を体現する架空のスタートアップ企業「Zava」を想定。

約 1 時間に及ぶその内容は、新規事業の立ち上げに向けた市場調査に始まり、新プロダクトの効率的な研究開発、販路拡大に向けたマーケティング施策の立案、顧客とのエンゲージメントを強化する Web アプリケーション開発、そして複数の ERP を活用している財務管理の最適化に、すべてのデータを守るためのセキュリティ対策までを網羅したものとなっています。

最後に、「成功の枠組み」の いずれかをすでに実践されている 5 社の事例を紹介。大きな拍手の中、幕を閉じました。

【紹介されたお客様事例】

従業員エクスペリエンスの強化

  • NTT西日本株式会社は、全社的な業務効率化と AI  活用推進の一環として Microsoft Copilot  を導入。初期の 400 名規模のパイロット導入から、4,100 名へと利用者を大幅に拡大しました。営業や SE  部門を中心に、資料作成、市場調査、会議の議事録など多様な業務で活用しています。実証実験では、創出されたユースケースのうち 71 %で作業時間の短縮が見られ、創造性や業務品質に加え、従業員の満足度の向上も実現されています。

顧客エンゲージメントの改革

ビジネスプロセスの再構築

  • パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社は、業務に関するあらゆるデータを誰もが自由に使えるようにセルフサービス型データ分析プラットフォーム「DIYA(ダイヤ)」の提供を進めています。DIYAのAIエージェントサービスにおいて気軽に使える UI を採用し、使い慣れた Teams と連携することで、難しい操作や専門知識がなくてもチャットをするような感覚で現場の担当者が自らデータ分析や AI 活用に取り組める環境を実現し、利用ハードルを大きく下げることで、現場主導でデータを活かした業務改善が進む世界を目指しています。

イノベーションの加速

  • 参天製薬株式会社では、全社に先駆けて奈良研究開発センターの研究者全 80 名に Microsoft Copilot を一斉導入し、文献調査や報告書作成などの業務に活用しています。ある研究者は「文献調査が半分以下の時間で済み、午後は考察に集中できるようになった」と語っており、AI が研究の質の向上にも寄与している様子がうかがえます。今後は、過去の膨大な文献データの構造化による検索性の向上や、データ分析での推論機能の活用も検討されています。また、本社部門でも Microsoft Copilot を導入しており、先行導入者約 650 名の検証では、一人あたり年間70 時間の作業時間削減と 98% の高い利用率を実現され、2025 年 10 月 1 日よりグローバル全社への展開を決定しました。
4つの成功の枠組みに沿ったお客様事例の紹介


「金融」「製造」「教育」の分野で進む AI 活用の実際

基調講演の最後は、それぞれの業界で AI 活用を推進している 3 人のリーダーが登壇。津坂とのパネルディスカッションによって、貴重なお話をいただきました。

それぞれの業界で AI 活用を推進している 3 人のリーダー

● 株式会社りそなホールディングス 執行役 グループ戦略部長 伊佐 真一郎 氏

株式会社りそなホールディングス 執行役 グループ戦略部長 伊佐 真一郎 氏

「(5 月に日本マイクロソフトと戦略的枠組みに関する契約を結ぶ前に) 実は、私たちとしては生成 AI への取り組みが少し遅れたという焦りがありました。世の中が非常に複雑化する中で、商品の開発からお客さまにお届けするまでの一連のマーケティング活動には、スピード感が重要になります。そのためには、『お客さまに対する理解力』『業界や商品に対する知識力』『お客さまへの提案力』という 3 つのポイントが重要になります。しかし、これらのすべてを兼ね備えたスーパーマンを 1 人育てるよりは、従業員全員が生成 AI を活用して、足りない部分を補っていく。そういう企業集団になりたいという思いがあり、マイクロソフトさまと戦略的枠組みに関する契約締結に至ったという経緯があります。そして今、社内では生成 AI を使う人と作る人の 2 つに分けて、人材を育成する新たな人材育成体系を構築しているところです」

● マツダ株式会社 常務執行役員 兼 CIO (最高情報責任者) 業務イノベーション担当 木谷 昭博 氏

マツダ株式会社 常務執行役員 兼 CIO (最高情報責任者) 業務イノベーション担当 木谷 昭博 氏

「2023 年に生成 AI が登場してきた際に、社員の関心も非常に高く『実際に活用したい』『業務を変えたい。変えてみたい』という声が多く寄せられました。そうしたニーズに応えるために、同年社内に “AI 道場” を立ち上げました。これは、社内の AI エキスパート (現在 560 名) が先生となり、各部門からの参加者が持ち寄ったテーマに沿って彼らが指導を行い、成果を持ち帰った参加者を新たに師範として認定するという制度になります。この取り組みを行ってみて、特に『良かったな』と思っている事例が 1 つあります。それは、健康管理センターの女性が持ち寄ったテーマで『社内に何十年も蓄積している社員の健康データを分析活用してみたい』というものでした。そして、広島大学の情報科学部とも連携して助けてもらおう、ということになりまして。今、実際にご協力をいただきながら、社内の健康ビッグデータを活用したウェルビーイングの取り組みを進めています。そして今、AI とデータ活用を中核に業務改革を推進する専任組織「MAXプロジェクト(Mazda AI Transformation)室」を新設(2025年9月1日)して、当社の「2030経営方針」で掲げる「生産性倍増」の実現に向けた変革を進めているところです」

● 立命館大学 副学長 三宅 雅人 氏

立命館大学 副学長 三宅 雅人 氏

「ソーシャルコネクティッド・キャンパス」を標榜する学校法人立命館は、2024 年 4月に立命館大学 大阪いばらきキャンパスに竣工した H 棟を起点として、日本マイクロソフトと協働する「Microsoft Base Ritsumeikan」を開設。さらに「QULTIVA (カルティバ)」という、創発性人材育成を行うための新たなプラットフォームをスタートさせています。

「本学でも、企業の皆様が業務の効率化に生成 AI を活用されているのと同じように Copilot Studio を校務の効率化に活かしている側面があります。ただ、企業様と大きく異なるのが、『教育や学生の指導にどうやって生成 AI を活用していくか』という点です。本学では “創発性人材” の育成を目指しているのですが、そのような教育にどのように AI を活用していくか。それを実践する上で重要になるのが正しく『人間の目的意識』になります。学生に対して教職員が何を指示するべきか、何を行うべきか、というところを明確にして、しっかりとロジックを組まないといけない。これを大学の中の人材だけで実践するのは困難です。だからこそ、私たちとしてもさまざまな企業の方と連携した社会課題の解決などを通して、一緒に人材育成を進めていきたいと思っています」

(事例記事 : 新たな人材育成と開かれた共創の場の確立へ。学校法人立命館は “自由な挑戦” を Microsoft 365 Copilot などの活用によって加速 | Microsoft Customer Stories)


データ駆動型スマートシティの実現に向けた大阪府の挑戦

AI Tour Osaka では基調講演のほかに、18 のブレイクアウトと 4 つのワークショップ、そして 13 のライトニングトークが行われました。

Connection Hub と名付けられた展示スペースの一角で行われたライトニングトークの中で特に注目を集めたのが、独立行政法人 地域医療機能推進機構 大阪病院 樋脇 鷹 氏による『医療機関での生成 AI 利活用の取り組み』と、日本マイクロソフトのエバンジェリストである西脇 資哲がライブデモで紹介する『AI エージェント最前線』、そして大阪府 スマートシティ戦略部 戦略企画課長 狩野 俊明 氏による『データ駆動型スマートシティの実現に向けて ~大阪の挑戦~』の 3 コマでした。

大阪病院 樋脇 鷹 氏による『医療機関での生成 AI 利活用の取り組み』では、進行中の生成 AI 利活用計画が紹介されました。生成 AI を医療現場でどのように役立てるかということに関して院内でアイデア出しを行った結果、「レセプトチェック」や「CT造影検査プロトコル」「会議の議事録作成」など医療データの取り扱いを主とした 24 のアイデアが選ばれたといいます。

独立行政法人 地域医療機能推進機構 大阪病院 樋脇 鷹 氏によるプレゼンテーション

西脇によるライブデモでは、Microsoft 365 Copilot を実際に活用している手法=音声入力+チェーンプロンプトを紹介。リサーチエージェントなどを駆使して、業務に適した資料を作成する様子を披露したほか、「大阪・関西万博」を自分のスケジュールに合わせて、効率的に楽しめるように自作したエージェントなどを紹介。好評を得ていました。

ライブデモを行う西脇

大阪府 狩野 俊明氏による『データ駆動型スマートシティの実現に向けて ~大阪の挑戦~』では、大阪スマートシティ戦略 Ver1.0が策定されてからの 5 年間の経緯や、大阪広域データ連携基盤 (ORDEN) の全体像、そして官民の多様なデータが一覧化された ODPO (Open Data Platform in Osaka) とそれを活用したハッカソンの実績など、大阪府のこれまでの AI 活用事例が詳しく紹介され、盛況を呈しました。

大阪府 スマートシティ戦略部 戦略企画課長 狩野 俊明 氏
ライトニングトーク会場を埋め尽くす聴衆
大阪広域データ連携基盤 (ORDEN) について説明する狩野 氏
【関連リソース】