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2026/08/28

第一生命が生涯設計デザイナーの働き方を Azure ベースの AI で変革。そのために構築された「デジタルバディ」の開発プロセスと効果とは?

1902 年の創業以来、お客さまに寄り添うことで信頼関係を構築し続けている第一生命。その営業現場では約 3 万 5,000 人に上る生涯設計デザイナーが活動していますが、近年大きな課題になっていたのが営業活動に伴う事務負担の大きさでした。その負担を軽減し、生涯設計デザイナーの働き方を変えることを目指し、開発されたのが伴走支援型 AI「デジタルバディ」。顧客面談時の録音・文字起こしや議事録作成、営業活動のプラスになりそうなヒント提示、社内ドキュメントの照会、文章作成などの機能を提供しています。

デジタルバディは、マイクロソフトの支援のもと、PoC (概念実証) と PoB (現場でのビジネス実証) を重ねながら段階的に機能を拡充し本稼働しました。開発時に重視したのは、生涯設計デザイナーと試行錯誤を繰り返しながら、現場に受け入れられる仕組みを実現すること。また、「Human in the Loop」の考え方を採用し、人と AI がそれぞれの強みを発揮できる環境を構築。既に Azure をベースに構築されていた「ホーム クラウド」を活用することで、高い安全性と拡張性も確保しています。

デジタルバディは、生涯設計デザイナーの生産性向上だけでなく、顧客対応品質の向上にも貢献しています。顧客面談時の録音・文字起こし機能により、担当者はメモ取得に追われることなく顧客との対話に集中できるようになりました。また、面談内容が上司に速やかに共有されるため、帰社後の報告・指導の準備負担が軽減されるとともに、事実に基づく質の高い育成・支援が可能になります。さらに、文章作成機能や社内ドキュメント照会機能によって業務効率化を進め、お客さまへのより迅速で質の高い対応を支えます。

Daiichi Life Insurance Co Ltd

AI が生涯設計デザイナーを伴走支援する「デジタルバディ」

1902 年の創業以来「お客さま第一」を経営の基本理念に据え、長期にわたりお客さまに寄り添うことで信頼関係を構築し続けている第一生命保険株式会社 (以下、第一生命)。ここでは約 3 万 5, 000 人に上る生涯設計デザイナー (営業担当者) の働き方を、AI によって変革する取り組みが進められています。そのために開発されたのが 伴走支援型 AI 「デジタルバディ」。顧客体験 (CX) と現場生産力の飛躍的な向上を目指し、2026 年 4 月末に本稼働が始まっています。

デジタルバディとは、生涯設計デザイナーの営業活動を伴走支援する AI です。具体的な機能としては、お客さまの合意のもと実施する、営業担当者とお客さまとの会話の「録音・文字起こし機能」、社内ドキュメントを自然言語で検索し該当文書と要約を提示する「照会機能」、過去のやり取りをベースに次の面談や提案活動に役立つアドバイスを行う「ヒント機能」、手紙やメールなどの文面案を自動作成する「文書作成機能」が提供されています。

この取り組みの背景について「現在のデジタルバディの構想は、インシュアテックを活用しイノベーション創出を担ってきた『イノベーション・ ラボ』という組織から生まれました」と語るのは、第一生命 DX推進部で部長を務める中山 新 氏。お客さまとの長期にわたる寄り添いの裏には膨大な事務処理が存在しており、その負担を軽減したいという想いがあったと振り返ります。「また事務処理に対する得意不得意は人による差も大きいため、AI やデジタルによるエンパワーで均質化し、組織全体を底上げすることも目指しました」。

中山 新 氏, DX推進部 部長, 第一生命保険株式会社

“AI が作成したものを、人を介さずにダイレクトにお客さまに送る、というアプローチもあると思いますが、第一生命では人間の温かみや寄り添いを重視しています。そのため、自動化によるスピード、正確性はデジタルバディに任せる一方で、お客さまとの丁寧な対話を通じた信頼獲得は生涯設計デザイナーが担うという方針を、徹底して守っています。つまりデジタルバディはあくまでも、お客さま対応の主役である生涯設計デザイナーの『バディ (相棒) 』なのです。”

中山 新 氏, DX推進部 部長, 第一生命保険株式会社

現場で試しながら改善していくことで、生涯設計デザイナーが納得できるシステムを完成

デジタルバディの開発では、PoC (Proof of Concept:概念実証) に続いて、生涯設計デザイナーが参加する PoB (Proof of Business:ビジネス実証) を段階的に実施しました。現場で実際に利用しながら改善を重ねることで、ユーザーの声を反映したサービスの実現を目指しました。この PoB 実施について、第一生命 DX推進部 DXソリューション開発課でアシスタントマネジャーを務める井川 正人 氏は、次のように語っています。

「最初から完成形にしようと作り込むのではなく、現場でユーザーに試してもらいフィードバックを受け、その内容にもとづいて改善していくことを重視しました。パイロット ユーザーも段階的に拡大しており、最初は 100 名規模でしたが、2025 年には 150 〜 300 名規模に拡大、2026 年 3 月に行われた本稼働直前のモデル稼働では 1,400 名規模になっています。このようなステップを踏んでいくことで、3 万 5,000 人規模での本格稼働へと着実に歩を進めていきました」。

現場のフィードバックを受けながら、会話録音機能、照会機能、活動ヒント機能などを段階的に拡充。利用者の声を反映しながら改善を重ねることで、本格展開に向けたサービスへと成長させていきました。

井川 正人 氏, DX推進部 DXソリューション開発課 アシスタントマネジャー, 第一生命保険株式会社

“最初から完成形にしようと作り込むのではなく、現場でユーザーに試してもらいフィードバックを受け、その内容にもとづいて改善していくことを重視しました。パイロット ユーザーも段階的に拡大しており、最初は 100 名規模でしたが、2025 年には 150 〜 300 名規模に拡大、2026 年 3 月に行われた本稼働直前のモデル稼働では 1,400 名規模になっています。このようなステップを踏んでいくことで、3 万 5,000 人規模での本格稼働へと着実に歩を進めていきました。”

井川 正人 氏, DX推進部 DXソリューション開発課 アシスタントマネジャー, 第一生命保険株式会社

既に Azure ベースで構築していた「ホーム クラウド」で安全性や拡張性を担保

このような開発プロセスを採用した理由について、第一生命で常務執行役員を務める黒田 潤 氏は次のように説明します。

「今回最も神経を使ったのが、現場で確実に使ってもらえるシステムにすることでした。一度でも『使えない』と判断されると、その後、永久に使ってもらえなくなるからです。そのため、ユーザーからの評判が悪かった機能は思い切って切り捨てるなど、現場と一緒に試行錯誤を繰り返しました。開発手法自体にはアジャイル的な要素を取り入れつつ、現場との二人三脚でじっくりと時間をかけながら、現場が納得できる形に仕上げていったのです」。

この壮大なプロジェクトを技術面で支え続けているのが、日本マイクロソフトです。

両社の関係について「既に 20 年を越えるおつきあいがあり、過去多くのプロジェクトでもさまざまなご支援をいただきました」と黒田 氏。今回のデジタルバディのプロジェクトも、既に Azure をベースにした「ホーム クラウド」が構築されていたため、安全かつアジャイルな開発・実装が可能になったと説明します。

システム構成のイメージは、フロントエンドのアプリケーションは、Azure Web Apps for Containers 上で稼働。そのバックエンドには Azure Storage があり、さらにその背後で Azure OpenAI in Foundry Models や Azure Speech Service、Azure AI Search などの AI 機能が活用されています。システムの構成要素はすべて PaaS を採用し、数万人規模でも止まらずに使えるスケーラビリティのあるアーキテクチャを実現。生成 AI の急速な変化に対応するため、将来を見据えた「差し替え可能な構成」にしていることも、注目すべきポイントだといえるでしょう。

また AI が行う回答の信頼性も重視しています。そのために装備されているのが、AI による推論出力の妥当性を別の AI でチェックする仕組みです。これによりハルシネーションの発生を防止しているのです。

黒田 潤 氏, 常務執行役員, 第一生命保険株式会社

“今回最も神経を使ったのが、現場で確実に使ってもらえるシステムにすることでした。一度でも『使えない』と判断されると、その後、永久に使ってもらえなくなるからです。そのため、ユーザーからの評判が悪かった機能は思い切って切り捨てるなど、現場と一緒に試行錯誤を繰り返しました。開発手法自体にはアジャイル的な要素を取り入れつつ、現場との二人三脚でじっくりと時間をかけながら、現場が納得できる形に仕上げていったのです。”

黒田 潤 氏, 常務執行役員, 第一生命保険株式会社

顧客に向き合う時間を創出し、対応品質と業務効率を向上

今回のプロジェクトでもう 1 つ注目すべきなのが「Human in the Loop (人間を介在させる仕組み) 」を強く意識している点です。これに関しては中山 氏が次のように語っています。

「AI が作成したものを、人を介さずにダイレクトにお客さまに送る、というアプローチもあると思いますが、第一生命では人間の温かみや寄り添いを重視しています。そのため、自動化によるスピード、正確性はデジタルバディに任せる一方で、お客さまとの丁寧な対話を通じた信頼獲得は生涯設計デザイナーが担うという方針を、徹底して守っています。つまりデジタルバディはあくまでも、お客さま対応の主役である生涯設計デザイナーの『バディ (相棒) 』なのです」。

実際にデジタルバディを活用している、第一生命 横浜総合支社 旭中央営業オフィスの片岡 冴香 氏は、そのメリットを次のように語っています。

「お客さまとの面談が立ち話のときはメモを取りにくいのですが、デジタルバディがあれば録音して文字起こししてくれるので、たいへん助かっています。また、議事録も自動作成されるため、面談内容を上司に共有しやすくなりました。これにより、帰社後の報告準備にかかる負担が軽減されるだけでなく、事実に基づいた具体的なアドバイスや指導を受けやすくなっています。これ以上に助かっているのが文章作成機能です。以前はお客さまへの手紙やメールを何度も書き直していましたが、その時間も必要なくなりました」。

生涯設計デザイナーは、提案時だけではなくお悔やみやお見舞いなどお客さまの人生のさまざまな局面で手紙・メールを送ることも多く、LINE も含め年間で 1,000 通以上のメッセージを送ることは珍しくないといいます。片岡 氏は30 分以上かけて一通の文章を書くこともありましたが、その時間も大幅に短縮されたのです。

片岡 冴香 氏, 横浜総合支社 旭中央営業オフィス, 第一生命保険株式会社

“お客さまとの面談が立ち話のときはメモを取りにくいのですが、デジタルバディがあれば録音して文字起こししてくれるので、たいへん助かっています。また、議事録も自動作成されるため、面談内容を上司に共有しやすくなりました。これにより、帰社後の報告準備にかかる負担が軽減されるだけでなく、事実に基づいた具体的なアドバイスや指導を受けやすくなっています。これ以上に助かっているのが文章作成機能です。以前はお客さまへの手紙やメールを何度も書き直していましたが、その時間も必要なくなりました。”

片岡 冴香 氏, 横浜総合支社 旭中央営業オフィス, 第一生命保険株式会社

また、「膨大な数の社内ドキュメントに自然言語でアクセスできる照会機能も、生産性向上と働き方の変革に大きな貢献を果たしています」というのは中山 氏です。従来であれば上司や先輩に聞いていたことをデジタルバディに聞くことができるため、教える側も教えられる側も時短につながるのです。これに関しては片岡 氏も「以前は詳しい人が外出している時は帰社するまで待つ必要がありましたが、今ではすぐに調べることができます」と語っています。

「まだ本稼働を始めたばかりですが、デジタルバディに対する社内の期待値は非常に高くなっています」と黒田 氏。今後は生涯設計デザイナーの支援だけではなく、他のさまざまな部門を支援できるものにしていくと語ります。「また機能面でもさらに進化させていく計画なので、マイクロソフトには今後も継続的にご支援いただきたいと考えています」。

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