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2026/08/03

マネーフォワードが Microsoft Foundry を基盤に AX を加速、最新 LLM への切り替えも 1 週間で実施

「お金を前へ。人生をもっと前へ。」をミッションに掲げ、40種類以上のバックオフィス業務サービスを展開しているマネーフォワード。近年は IT を活用した業務効率化 (DX) から AI が自律的に業務を行う AX へとビジネスの主軸を移しつつあります。そのための基盤として採用されているのが Microsoft Foundry です。その最大の理由は、強固なセキュリティとガバナンス体制。エージェント フレームワークと開発環境の柔軟性の高さも評価されています。

同社では、Microsoft Foundry 上で 10 以上の AI エージェントを開発提供。2025 年 11 月発表の『マネーフォワード AI確定申告』や、2025 年 12 月発表の『マネーフォワード クラウド経費』の「経費申請サポートエージェント」、2026 年 3 月発表の『マネーフォワード クラウド会計』の「消費税区分チェックエージェント」などが含まれます。『マネーフォワード AI確定申告』のユーザーの中には、従来 6 日間かかっていた作業が 3 時間に短縮されたケースもあります。

これらの開発提供において Microsoft Foundry は、各種ツールや RAG を組み合わせたシステム構築を容易にし、最新 LLM への短期間での移行などに大きな貢献を果たしました。さらにマイクロソフトによる技術支援や、ビジネス戦略立案への支援も行われています。また、マイクロソフトは 2026 年 3 月に「Microsoft 365 Copilot Cowork」を発表。マネーフォワードはここにプラグインを提供するパートナーとしても参加し、顧客の幅広いニーズへの対応を目指しています。

Money Forward Inc

強固なセキュリティとガバナンス体制を評価し AI 基盤にマイクロソフトを選択

2012 年に創業し「お金を前へ。人生をもっと前へ。」をミッションに掲げる株式会社マネーフォワード (以下、マネーフォワード)。法人・個人事業主向けのバックオフィス SaaS『マネーフォワード クラウド』や、個人向けのお金の見える化サービス『マネーフォワード ME』など、40 種類以上のサービスを展開しており、個人ユーザーは 1,800 万人以上、法人顧客は 40 万事業者以上に上ります。

近年、従来の IT を活用した業務効率化 (DX) から戦略をさらに進化させ、AI が自律的に業務を行う AX (AI Transformation) に注力。昨年から今年にかけて、「Autonomous Backoffice (自律化したバックオフィス)」の実現や、業務を丸ごと任せられる「AI-BPO」サービスの展開、2030 年までに AI 関連で 150 億円以上の ARR (年間経常収益) 創出、といった内容の AI 戦略を発表しています。AI を「デジタルワーカー (同僚) 」として提供することで、「No.1 バックオフィス AI カンパニー」を目指しているのです。

その目的について「日本社会における深刻な人手不足問題の解消です」と語るのは、マネーフォワードで執行役員 グループCDAO (Chief Data and Analytics Officer) を務める野村 一仁 氏。日本の生産年齢人口は急激に減少しており、多くの中小企業で「人が採用できないために事業が伸ばせない」という悩みが顕在化しているのだと説明します。

「当社はこれまでクラウド型の SaaS を通じて、人が IT を活用して業務を効率化する『DX』を支援してきました。しかし数年前から ChatGPT を始めとした AI 変革が始まり、当社のサービス自体も変革を求められています。このような中、バックオフィス業務を AI によって自律化させることが、人手不足に悩むお客様への大きな付加価値になると考えています」。

マネーフォワードが AI 活用の検討を本格的に開始したのは、GPT モデルが公開された 2022 年 11 月頃。そして、2024 年 5 月には、同社サービスの 1 つである『マネーフォワード クラウド契約』に契約書を自動登録する AI 機能をリリースしています。また社内体制としても、2025 年 8 月には CEO 直下に「AI推進室」を新設するなど、全社横断で AI 活用を進めてきました。

ここで採用されたのが、Azure OpenAI in Foundry Models です。その理由について、マネーフォワード データAI基盤本部 プロダクトAIソリューション部で部長を務める三澤 努 氏は次のように説明します。

「Azure を選択した最大の理由は、強固なセキュリティとガバナンス体制です。顧客の機密情報を扱うためデータが学習に利用されない生成 AI が必須でしたが、検討を開始した当時にこれが可能なのは Azure のみでした。また不適切な表現やハルシネーションを防ぐガードレール機能が充実していることや、日本企業向けに安心安全な基盤を提供してきたマイクロソフトの実績とガバナンスの強さも、重要な決め手となりました」。

野村 一仁 氏, 執行役員 グループCDAO (Chief Data and Analytics Officer), 株式会社マネーフォワード

“AI のトレンドは目まぐるしく変化しています。そのような中、必要なサービスを必要な時に使えるプラットフォームとして Microsoft Foundry を提供し、さまざまな LLM やガードレールを含めた機能を包括的にカバーしているマイクロソフトは、最もお付き合いしやすいパートナーだと考えています。当社の技術を向上させるためにも、ISE などのエンジニアの皆様による技術支援を引き続きお願いしたいと思います。”

野村 一仁 氏, 執行役員 グループCDAO (Chief Data and Analytics Officer), 株式会社マネーフォワード

初期プロトタイプは 2 ~ 3 日で作成、最新 LLM への切り替えも 1 週間で実施

また三澤 氏は、2024 年 11 月にリリースされた Microsoft Foundry によって、エージェント フレームワークと開発環境の柔軟性がさらに高くなったことも、大きなメリットだと指摘します。単に LLM を呼び出すだけでなく、Azure AI Search や Document Intelligence などの周辺サービスを組み合わせた柔軟なアーキテクチャ設計がしやすい点や、トークン リミット到達時の自動リトライ機能が備わっている点など、大規模運用を想定した開発のしやすさが評価されているのです。「複数の AI エージェントを統合管理し連携させる基盤として最も先行しています」。

マネーフォワードは Microsoft Foundry を基盤として、すでに 10 以上の AI エージェントを開発・提供しています。その代表的なものは以下のとおりです。

  • 2025 年 11 月にリリースされた『マネーフォワード AI確定申告』。領収書や請求書をアップロードするだけで、AI が確定申告に必要な情報を集計・分析し、申告内容を作成します。これを活用している顧客の中には、従来 6 日間かかっていた作業が 3 時間に短縮されたケースもあります。
  • 2026 年 3 月にリリースされた『マネーフォワード クラウド会計』の「消費税区分チェックエージェント」。主に税理士向けに提供された機能で、仕訳を作成した際に仕訳内容や添付書類を AI が読み解き、税区分が正しいか、インボイス対応の適格請求か、などを自動でチェックします。

「最初に作成した AI エージェントは、わずか 2 ~ 3 日で初期プロトタイプを開発できました」と三澤 氏。また冒頭で紹介した『マネーフォワード クラウド契約』の契約書自動登録機能の直前には GPT の新しい LLM モデルが公開されましたが、わずか 1 週間のテストで新モデルへの切り替えが可能だったと振り返ります。

「統合的にツールを組み合わせたり、RAG (検索拡張生成) を動かしてナレッジを追加したりするといった開発が、手軽に行えます。また、Microsoft Foundry 上で LLM モデルの名前を変えるだけで、一斉にテストを流せる仕組みが作れるため、新しい LLM モデルへの切り替えや検証もさらに容易になりました」。

三澤 努 氏, データAI基盤本部 プロダクトAIソリューション部 部長, 株式会社マネーフォワード

“Azure を選択した最大の理由は、強固なセキュリティとガバナンス体制です。顧客の機密情報を扱うためデータが学習に利用されない生成 AI が必須でしたが、検討を開始した当時にこれが可能なのは Azure のみでした。また不適切な表現やハルシネーションを防ぐガードレール機能が充実していることや、日本企業向けに安心安全な基盤を提供してきたマイクロソフトの実績とガバナンスの強さも、重要な決め手となりました。”

三澤 努 氏, データAI基盤本部 プロダクトAIソリューション部 部長, 株式会社マネーフォワード

技術に加え AI 戦略立案も支援、「Microsoft 365 Copilot Cowork」へのプラグイン提供も

マイクロソフトによる手厚い技術サポートや、ビジネス戦略立案の支援も高く評価されています。

「2026 年 2 月にはシアトルの EBC (Executive Briefing Center) で、マイクロソフトの各製品の Vice President とディスカッションをさせていただきました」と野村 氏。この経験はマネーフォワードの今後の AI 戦略を考える上での、重要な基礎となっていると述べています。

また 2026 年 4 月には、マイクロソフトの ISE (Industry Solutions Engineering) が参加する、伴走支援型のハッカソンも実施されています。製品を連携して動かす際に生じる課題に対して、ISE がその場で一緒にものづくりをしながら伴走して解決する支援を受けることで、スピーディにノウハウを吸収できたのです。またハッカソンでは Microsoft Foundry の技術支援にとどまらず、Microsoft 365 や Microsoft 365 Copilot との接続可能性なども視野に入れた支援が受けられたと、三澤 氏は振り返ります。

さらに、マイクロソフトの新たなエコシステムにも期待が寄せられています。マイクロソフトは 2026 年 6月に「Microsoft 365 Copilot Cowork」をリリースしており、パートナー企業による Skills のプラグインも提供していますが、マネーフォワードもここに各種 Skills のプラグインを提供するパートナーとして参加しているのです。

「最初に提供するのは、当社が公開している MCP(Model Context Protocol) サーバーに Microsoft 365 Copilot Coworkから接続し、『マネーフォワード クラウド会計』の経理データを収集・分析するSkillsです」と三澤 氏。また Microsoft 365 との連携も深めていく計画だと語ります。

マネーフォワードは『マネーフォワード AI Cowork』の提供を予定。これは統合された UX から、マネーフォワードの複数の AI エージェントを連携させ自律的に業務処理を実行させるというもの。この AI プロダクト開発の基盤技術として活用されているのが Microsoft Foundry です。これによって AI を「ユーザーの同僚」に進化させようとしているのです。この『マネーフォワード AI Cowork』 に加えて、Microsoft 365 Copilot や Microsoft 365 Copilot Cowork もフロントエンドとして使えるようにすることで、顧客の幅広いニーズに対応していくことが目指されています。

最後に野村 氏は、次のように語っています。

「AI のトレンドは目まぐるしく変化しています。そのような中、必要なサービスを必要な時に使えるプラットフォームとして Microsoft Foundry を提供し、さまざまな LLM やガードレールを含めた機能を包括的にカバーしているマイクロソフトは、最もお付き合いしやすいパートナーだと考えています。当社の技術を向上させるためにも、ISE などのエンジニアの皆様による技術支援を引き続きお願いしたいと思います」。

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