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2026/07/14

GPT Realtime API in Foundry Models で電話接客を自動化。wevnal の「BOTCHAN AICALL」が注文完了率 80% を達成

wevnalは、BXプラットフォーム「BOTCHAN」で培った知見を活かし、電話接客領域への拡張を検討。背景には、高齢層などデジタル接点だけでは届きにくいエンド ユーザーの存在、電話がつながらないことによる機会損失、有人対応コストの高騰、オペレーターごとの応対品質のばらつきといった、顧客サービス現場における課題がありました。その解決に向け、Microsoft Foundry の GPT Realtime API による電話接客を自動化する「BOTCHAN AICALL」の開発が始まりました。

CRM / 基幹システム連携により、問い合わせ・注文・契約変更などの電話手続きを自動化。解約防止など一部のシナリオでは Azure Speech in Foundry Tools も活用し、音声合成を含む音声対話の最適化を実施。Microsoft Foundry を活用することで、GPT Realtime API、Azure Speech、各種モデルを柔軟に組み合わせられるアーキテクチャを実現。通話ログや会話データは日次で集計・分析、翌日には会話シナリオなどへ反映する運用モデルも構築しています。

GPT Realtime API のレイテンシはわずか 1 ~ 1.3 秒。人間が違和感を抱くとされる 1.5 ~ 2 秒を下回っています。またこの自然な会話によって、ビジネス上のメリットも生まれています。電話注文における注文完了率は、人間による対応では平均 45% 程度であるところ、BOTCHAN AICALL は 80%* に達しているのです。また契約内容変更対応でも、ミッション完了率は 75% に。今後はインバウンドだけではなく、アウトバウンドにも適用領域を拡大していく計画です。

* 数値は実際の運用実績に基づく自社調べ (人間による対応は一部導入企業へのヒアリングに基づく)

wevnal

今も電話接客が多いというリアルな課題、AI 音声を電話回線と結びつけることで解決へ

東日本大震災が起きた2011 年にゼロからビジネスをスタートした株式会社wevnal (以下、wevnal)。その会社名は、変化の激しいインターネット業界の中で、顧客を成功に導く灯台のような会社になろうという想いから、web と wave と signal の 3 つの単語を組み合わせて命名されました。その後「コミュニケーションをハックしてユーザー体験にワクワクを」というビジョンのもと、BX (Brand Experience) プラットフォーム「BOTCHAN」を開発・提供。チャット上で決済完了まで繋げるアウトカムベース (成果重視) のプロダクトを 2019 年にリリースして以来、チャット UI を通じたユーザー体験の向上と、顧客企業の売上向上や LTV (顧客生涯価値) の最大化に貢献してきました。

そして 2025 年 9 月には、電話接客 (インバウンド コール) を自動化する AI エージェント「BOTCHAN AICALL」の β 版をリリース。サービス領域をオンラインのチャットから電話へと拡大しています。その開発背景について次のように語るのは、wevnal で BOTCHAN AICALL 事業責任者を務める森川 智貴 氏です。

「ChatGPT をはじめとする LLM の時代が到来したことを受け、2023 年頃にチャット コミュニケーションに特化した『BOTCHAN AI』をリリースしましたが、このプロダクトは多くの導入企業に高く評価されたにもかかわらず、運用から 1 年ほど経過した頃に 3 社のお客様から立て続けに解約されてしまいました。その理由をヒアリングしたところ、エンド ユーザーに高齢者が多く、デジタル空間にはいないのだという回答をいただきました」。

つまり現在でも、エンド ユーザーからの問い合わせが電話で行われている企業は決して少なくないという、顧客サービス現場のリアルな課題が、このときはっきりと浮き彫りになったといいます。そしてちょうどその頃、マイクロソフトでは技術的なブレイクスルーが起きていました。Microsoft Foundry に「GPT Realtime API (Speech-to-Speech) 」が追加され、遅延のない自然な音声対話が可能になったのです。

「遅延のない AI 音声を電話回線と結びつけることで、かつて解約に至ってしまったお客様に対しても、再び大きな価値を提供できると考えました」と森川 氏。ビジネス上の課題と技術的イノベーションのタイミングが、見事に合致した瞬間でした。

森川 智貴 氏, BOTCHAN AICALL 事業責任者, 株式会社wevnal

“電話注文では、人間が受けたときの注文完了率が平均 45% なのに対し、BOTCHAN AICALL では 80% に達しています。人間での対応では担当者によってばらつきが生じてしまいますが、AI であれば安定した対応が可能なことも大きなメリットです。また契約内容変更でもミッション完了率が 75% に。これまで人間が対応してきた業務を、1/3 ~ 1/4 に削減できることになります。今後はこの品質を維持しつつ、さらなる顧客体験の向上を図ります。”

森川 智貴 氏, BOTCHAN AICALL 事業責任者, 株式会社wevnal

少数精鋭チームがわずか 6 か月で開発、大企業が求めるセキュリティも実現

森川 氏はそこからすぐに動きを開始し、2024 年 12 月にはプロトタイプのデモを作成。2025 年 1 月にはビジネス企画の立案を完了させ、2 月には BOTCHAN AICALL のためのインフラ整備が行われています。開発は 3 月にスタートし、4 名の少数精鋭チームによってわずか 6 か月で完了。前述の 2025 年 9 月の β 版リリースにこぎつけています。

これだけスピーディな開発が可能になった背景には、wevnal では Azure OpenAI in Foundry Models が登場した頃から、すでに Azure を使っていたことが挙げられます。この頃から生成 AI の基盤として Azure を採用していた理由について、wevnal で執行役員 CTOを務め、BOTCHAN AICALLでもインフラ整備を担当した鈴木 和男 氏は、次のように説明します。

「Azure を活用している第 1 の理由は強固なセキュリティです。Entra ID や Microsoft Defender、Microsoft Sentinel などをフルに連携させることで、大企業の要件に応じた構成を取りやすいことが挙げられます。第 2 は柔軟なモデル利用が可能なこと。AI モデルは次々に新しいものが登場していますが、Microsoft Foundry を使えば簡単にモデルを切り替えられます。そして第 3 が安定したサポートです。マイクロソフトなら突然サービスが終了して使えなくなるリスクがありません」。

これらに加えて「開発体験の良さも評価しています」と鈴木 氏。開発現場では GitHub が使われていますが、Azure ならこれとの連携がシームレスに行えるのだといいます。「BOTCHAN AICALL では Azure Container Apps でアプリを実行していますが、画面上のボタンを数回クリックするだけで非エンジニアでも簡単にデプロイ可能です。これはとても素晴らしいと思います」。

サービス提供環境は図に示すとおり。外部の電話システムから音声データを Azure Application Gateway で受け、Azure Container Apps 上のアプリを経由して、Microsoft Foundry 内にある GPT Realtime API (Speech-to-Speech) でリアルタイムな会話を実現しています。また GPT Realtime API は通話音声のトランスクリプトも生成しており、そのデータを Azure Blob Storage に蓄積。さらにこの蓄積データから、Azure OpenAI in Foundry Models が分析に必要な各種項目データを抽出し、Azure Database for PostgreSQL Flexible Server に保存しています。

鈴木 和男 氏, 執行役員 CTO, 株式会社wevnal

“Azure を活用している第 1 の理由は強固なセキュリティです。Entra ID や Microsoft Defender、Microsoft Sentinel などをフルに連携させることで、大企業の要件に応じた構成を取りやすいことが挙げられます。第 2 は柔軟なモデル利用が可能なこと。AI モデルは次々に新しいものが登場していますが、Microsoft Foundry を使えば簡単にモデルを切り替えられます。そして第 3 が安定したサポートです。マイクロソフトなら突然サービスが終了して使えなくなるリスクがありません。”

鈴木 和男 氏, 執行役員 CTO, 株式会社wevnal

顧客企業も驚いたスムーズな日本語会話、今後はアウトバウンドのサービスも提供

現在 (2026 年 4 月) はまだ SPF (Solution Product Fit) の段階であり、β 版を限定顧客 30 社のみに提供している状況ですが、すでに大きな手応えが得られているといいます。

「GPT Realtime API は自然な音声会話を、非常に短いレイテンシで行うことができます」と森川 氏。一般に人間は「1.5 ~ 2 秒の遅れ」で違和感を感じ始めるところ、GPT Realtime API は 1 ~ 1.3 秒で返事を返せるのだと説明します。「実際に BOTCHAN AICALL の会話デモを聞いていただければ、その自然さに驚くはずです。β 版をお客様に初めてご紹介した際も、デモを披露しただけで『思わず声が出るほど驚かれた』という反応をいただきました」。

このような自然な会話の実現は、ビジネス上のメリットにもつながっています。現在は「電話注文」「サブスクリプションにおける契約内容変更」の 2 種類のユースケースで検証が進められていますが、それぞれにおいて定量的な成果が出ているのです。

「電話注文では、人間が受けたときの注文完了率が平均 45% なのに対し、BOTCHAN AICALL では 80% に達しています。人間での対応では担当者によってばらつきが生じてしまいますが、AI であれば安定した対応が可能なことも大きなメリットです。また契約内容変更でもミッション完了率が 75% に。これまで人間が対応してきた業務を、1/3 ~ 1/4 に削減できることになります。今後はこの品質を維持しつつ、さらなる顧客体験の向上を図ります」。

このような定量的なデータがすぐに出てくるのは、蓄積されたデータを可視化する仕組みも組み込まれているからです。BOTCHAN AICALL では複数の KPI を自動的に算出し、その時系列データなどをダッシュボードで参照できるのです。

効果をさらに高めていくには、改善のための仮説検証サイクルを回していく必要がありますが、このような機能も2026 年 4 月にリリースされています。複数種類の音声やシナリオを用意し、これらをランダムに切り替えて対応することで「A/B テスト」の実施が可能です。

「A/B テストで効果の高いものが見つかれば、AI なので一斉にその方法に切り替え、さらなる仮説検証を続けることも可能です。これを自動的に実施する機能もすでに開発を始めており、3 ~ 4 か月後には BOTCHAN AICALL に組み込んでいく計画です」。

その一方で、より滑らかな日本語会話を実現するための研究も進められています。そのために2026 年 4 月には、GPT Realtime API のクオリティを評価する KPI も作成。この取り組みにはマイクロソフトのエンジニアも参画しています。

「今後はインバウンドだけではなく、アウトバウンドのサービスも提供したい」と森川 氏。これがリリースできれば、顧客のブランド体験全体をカバーできるといいます。「コミュニケーションをハックしてユーザー体験にワクワクを」の実現に向けた wevnal の取り組みは、これからさらに領域を拡大しようとしているのです。

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